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腰痛と脊柱の回旋可動性との関係

■脊柱の回旋運動の非対称性が注目されている

「見た目のからだの左右非対称性と腰痛とは、関連性が低い」

 

からだのゆがみは腰痛とは関連は低いことは前述のブログのとおりです。

加えて、研究が進むにつれ、どうやら、脊柱の回旋運動の非対称性が、腰痛と何らかの関連性があるらしいということが分かってきていました。

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Al-Eisa氏ら1)2)が2006年に報告した論文です。

 

座位や立位姿勢における脊柱(胸椎・腰椎)の回旋運動の非対称性と腰痛との関連性について調べたところ、腰痛になる人は、胸椎の回旋可動性が少なく、腰椎の側屈運動と回旋運動の非対称性が健康な人よりも大きいことが、判明しました。

 

からだの回旋運動において、脊柱の占める可動範囲はおよそ90°とされています。

 

そのうち、胸椎の回旋可動性は35°、腰椎の回旋可動性は5°程度です。

 

胸椎の回旋可動性が低下すると、その低下した分、腰椎が過剰に回旋運動を行う可能性があります。その逆もまたしかりです。

胸椎と腰椎とは、お互いが支え合う関係、つまりは補完関係にあります。

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脊柱の回旋運動の可動性が左右非対称であれば、腰痛が起こり得る危険性が高いことから、腰痛の危険性を評価する際に、脊柱の回旋運動の非対称性に注目することが非常に重要であると考えられます。

 

■脊柱の回旋運動の非対称性の見分け方と運動指導のポイント

それでは、ここで脊柱の回旋運動の非対称性の見分け方を紹介しましょう。

①まずは、背筋を伸ばし、顔は正面を向け胸に手を当てた状態で座ります

②次に、頸部を動かさず、胸部のみを左右にゆっくりと回旋させます。

③左右どちらかに胸部が回旋しやすいかに注目します。

 

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片側に過剰に回旋する、あるいは、両方ともに充分回旋しない場合は、いずれも腰椎に正常とは逸脱した過剰な動きが求められる為、腰痛を引き起こす危険性があります。

 

次に、脊柱の回旋運動の非対称性を改善する為のアプローチ方法を紹介します。

 

①まずは仰向けに寝た状態になります。

②胸部が回旋しにくい側(右側に胸部を回しにくいと感じた場合、右側の手)の手を頭の後ろに回し、上半身を回旋しやすい側へゆっくりと倒します。

※からだを正面から観察すると、ちょうど「くの字の姿勢」となります。

③その状態から、鼻から息を吸い、口からはく深呼吸を10回程度行います。

※全身の力を抜きリラックスした状態で、大きく胸を広げるように呼吸しましょう。

 

この深呼吸の繰り返しにより、肋骨の可動性や脊柱の可動性を改善します。

深呼吸を終えましたら、再度、胸部を回旋させるように動かしてください。

回旋しにくかった方向に胸部が回旋しやすくなるのが実感できると思います。

 

胸椎の回旋可動性を高めることは、腰椎の過剰な運動が制限され、腰痛の発症を予防することに繋がります。

 

左右両方向に回旋する動きが少ない場合は両方10回、動きの左右差がある場合は、回旋しにくい側を10回多く実施するようにしてください。 簡単にでき、腰痛予防効果の高い運動です。是非、お試し下さい。

 

 

<文献>

1)Al-Elsa E,Egan D,Deluzio K,Wassersug R.Effects of pelvic asymmetry and low back pain on trunk kinematics during sitting:a comparision with standing.Spine.2006;31:E135-43 

2)Al-ElsaE,Egan D,Deluzio K,Wassersug R.Effects of pelvic asymmetry on trunk movement:three-dimensional analysis in healthy individuals versus patients with mechanical low back pain. Spine.2006;31:E71-9.