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からだのゆがみは、自然現象である

■からだにゆがみがない人は存在するのか?

多くの雑誌やテレビで

「からだがゆがむと不健康になる」

「からだのゆがみを矯正しなければ、健康になれない」

という話が紹介されます。

しかし、そもそも、「からだにゆがみがない人」は存在するのでしょうか?

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 ■からだに自然と備わる、「機能の一側優位性」

私たちのからだには、「利き手」「利き足」と呼ばれる

「機能の一側優位性」というものが存在します。

 実は、この機能の一側優位性、3歳頃にはすでに存在するものと考えられています。

 幼児257名を対象に調査したところ、約80%の幼児が、右側が利き手、利き足であり、足の成長も左右に違いが見られることが確認されました。1)

 

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この事実は、成長に合わせ、からだの関節の柔軟性や筋力の強さには左右差が作られる事を意味します。 

 

例えば、ボールを蹴る動作で考えた場合、利き足側の股関節は、様々にボールを蹴る事が求められますので、自然と関節の可動性や筋肉の協調性が高まります。一方、軸足側の股関節は、利き足が効率よく動くために、からだを安定し支持する事が求められる為、自然と関節の可動性は少なく、筋肉の持久性が高まります。

 

握力は右側が強い人が多いですが、これは右手の握力だけを選択的にトレーニングしたわけではありませんね。機能の一側優位性が存在する結果、日々の生活の中で自然と備わった左右差です。

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筋肉は関節をまたいで付着している事から、筋肉の緊張状態や伸張性が左右不均等であれば、当然に骨格アライメント(骨配列のこと)も左右不均等となります。よって、肩の高さや腰の高さは自然と左右が非対称になり、からだはゆがみます。

 

この機能の一側優位性は一過性のものではなく、生涯に渡り継続するものと考えられますので、からだのゆがみは、成長によりからだに備わる自然現象といえます。

 

■からだのゆがみは、生活環境と生活習慣に修飾される

また、からだのゆがみは、生活環境や生活習慣により修飾されます。

例えとして、家庭のキッチンに当てはめて考えてみます。

 

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キッチン周りには、いつも決まった位置に調理器具や食器が並べられています。そして、毎日何時間も繰り返し同じ手順で調理し、食器を片付ける、という動作を繰り返します。

 

すると、からだは無意識に動作の効率性を高めるような姿勢や、一定の動きを繰り返すようになります。これは、ある種の適応反応ともいえます。

 

この適応反応の前提には、利き手や利き足といった機能の一側優位性が存在します。結果、筋肉の発達や関節の可動性に左右差が生まれ、からだのゆがみがより顕著となる可能性があります。

 ■からだのゆがみは、スポーツ習慣にも修飾される

更に、からだのゆがみはスポーツ習慣にも修飾されます。

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多くのスポーツには「フォーム」と呼ばれる一定の型が存在し、選手は正しいフォームでからだを動かす事が要求されます。同一の動作を繰り返す結果、からだにゆがみが作られます。

 

Reibeiro氏ら2)の研究によると、健康なバレーボールやハンドボール競技者を対象に肩甲骨の位置を調べた結果、利き手側と非利き手側の肩甲骨の位置には明確な違いが認められたことが報告されています。左右が対象ではない、つまり、からだはゆがんでいました。ここで重要な点は、対象者が健康であるという点です。健康な人でもからだはゆがんでいるのです。

 

■からだのゆがみは、誰にでも存在すると考えた方が自然

以上のことから、利き手利き足などの機能の一側優位性の存在、加えて生活環境や生活習慣、スポーツなどの運動習慣の影響により、私たちのからだには、自然と左右の非対称性が形作られます。

 

からだのゆがみは、誰にでも存在すると考えた方が自然だと思われます。

 

となると、次に疑問を覚えるのは、「からだの不健康の原因とは何か」という事です。この事については、次のコラム、「からだのゆがみと健康」について、詳しく解説します。

 

<文献>

1)荒木智子、鳥居俊:足部形態の発育と手足の機能分化の検討.理学療法-臨床・研究・教育 14:34-41,2007

2)Ribeiro A,er al:Resting scapular posture in health overhead throwing arthlets.J Athl Ther 18:547-550.2013